マイクロコピーの改善で成果は上がる?ブランドにも影響を与える細部の重要性

マイクロコピーをご存知だろうか?

Webサイトの中でも細かい部分のコピーライティングのことだが、Webマーケティングの経験の浅い人は特に軽視しがちだ。

ユーザー体験をより素晴らしいものにするためにマイクロコピーは重要な役割を持つ。このマイクロコピーを重視することで、サイトのCVを向上させることもできる。さらに、大切なのはブランドやサイト全体に与える印象を左右するということだ。細部にまでこだわりが見えるからこそブランドを色濃く感じ取ることができる。「神は細部に宿る」というが、細かい部分もとても大切なのだ。

そこで今回は、特に効果的なマイクロコピーの変更方法についてお話ししよう。サイト制作やライティングに関わる方はぜひ参考にしてほしい。

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1.マイクロコピーとは一体どんなものか?

マイクロコピーは以下のような場所にある細かいテキストのことだ。

<マイクロコピーの例>
・ボタン
・404エラーページ
・ログイン画面
・パスワード設定画面
・メルマガ登録画面
・問合せ入力フォーム
・ナビゲーション
・プライバシーポリシー
・サンキューページ
・警告メッセージ

メインのコピーライティングに気を取られすぎて忘れられがちな小さな部分だ。しかし、サイト全体に大きな影響力を持つ。

有名な事例でいうと、アメリカ大統領選でのオバマ陣営のキャンペーンサイト。メルマガ購読者が増えれば結果的に寄付金が増えるため、メルマガ購読ページを改善したというもの。メルマガ購読ボタンの “SIGN UP(購読する)” を “LEARN MORE(もっと知る)” と変えたことでクリック率が18%向上し、さらにアイキャッチ画像などの変更も組み合わせて最終的に40.6%も改善したという事例だ。たった2単語の変更により、同じ広告費で6000万ドルも追加の寄付金を獲得したことになる。

オバマ大統領選挙サイト

How Obama Raised $60 Million by Running a Simple Experiment

「購読する」ボタンだと一瞬躊躇ってしまうが、「もっと知る」であれば気軽にクリックしやすい。メルマガ登録への障壁を少なくしたマイクロコピーだ。

流れるようなユーザー体験を提供し、ユーザーが行動に迷うような要素を一切排除する。それがマイクロコピーの役割だ。企業側にとっても、ユーザーに行動してもらえるし不要な問合せも削減できる。

ではもう少しマイクロコピーの事例を紹介しよう。


2.マイクロコピーでユーザーを迷わせない

マイクロコピーは、少しでもユーザーが迷うような箇所で的確なテキストを配置させ、ユーザーの行動を後押しする。いくつか事例を紹介しよう。

行動を促進するマイクロコピー 

たった一文でも、ユーザーが行動するモチベーションを上げることができる。ユーザーにとってどんなメリットがあるのかを的確にテキストにしよう。

例えば、アメリカやカナダのフードデリバリーサービス「Door Dash(ドアダッシュ)」。UberEatsと並び今人気だ。私も対象地域にいる時はかなりお世話になっている。

下記はドアダッシュのサブスクリプション画面だ。月額$9.99で注文時の配送料などが割引になるという内容。

フードデリバリーサービス「DoorDash」

ダッシュパスを契約した決め手となったのが、最後の一文。「1オーダーにつき平均$4-5お得です」という内容だ。月に3回以上使えば元が取れる、と容易に想像できるからだ。

こう説明すると当たり前の文章に見えるが、意外とこれができていないサイトは多い。例えば「毎回の送料が0円になります」という文だけで終わるサイトはありがちだ。ユーザーにとって具体的にどう変わるか明確に言葉にする必要がある。

不安を取り除くマイクロコピー 

逆に、ユーザーの不安を取り除くためにもマイクロコピーはよく使われる。「本当にこのボタンを押していいのだろうか?」というような不安をなくすコピー。

最も多いパターンでいうと、お金が請求されるタイミングを明らかにする場合だ。
例えば、こちらはAmazonの注文確認ボタン。「続行」だけだと決済されるのかどうかが分からない。しかし「注文の最終確認ができます」と注意書きがあれば安心して進められる。

Amazon注文の最終確認

そしてこちらは民泊プラットフォームAirbnbの予約画面。
システムとして、ホスト側にまず予約リクエストを送り、問題なければ予約完了となる仕組みだ。この流れだとどのタイミングで請求されるのか見えにくいため、予約の際は「まだ請求されません」と一文が加えられている。

Airbnbの宿泊予約

こちらはHubspotのマーケティングサービス無料アカウント登録のページだ。
無料トライアルを登録する際、クレジットカードを登録したらいつの間にか期限が過ぎてチャージされていた、という経験はないだろうか?
「永久に無料です。クレジットカードは必要ありません」というマイクロコピーは、そういった経験を過去に持つ人々の不安を取り除く役割を果たしている。

Hubspot無料トライアル

 

特によくできたマイクロコピーだなと感じたのが、こちらのLinkedinの月額サービス登録画面だ。Hubspotとは逆で登録の際にクレジットカードが必要なのだが、その障壁を見事に崩している。

Linkedin登録画面

「無料トライアルにお支払い情報が必要な理由」をいうテキストを配置し、
・クレジットカードを登録しておくことのメリット
・無料トライアル終了時に通知があること
が簡潔に書かれている。さらには下部に「よくある質問」も載せ、登録への不安を可能な限り払拭しようしているのがわかる。

要所要所でマイクロコピーは大きな役割を持つ。ユーザーが迷ってしまうポイントはサイトにないか、改めて考えてみよう。ユーザーテストやインタビューを通して見つけ出す方法が効果的なのでぜひ実践してみてほしい。


3.ブランドを表現するマイクロコピー事例

マイクロコピーはユーザー体験を良くするだけではない。あなたのブランドを表現できる部分でもある。人間味のあるテキストだったり、共感される文章だったり、ブランドの特徴を散りばめられる。統一したブランドのトーンオブボイスを、マイクロコピーを使ってサイト全体で表現できないか考えてみよう。

ブランド色が出るページの一つが404エラーページだ

404エラーページ

404エラーページとは、サイト上に存在しないURLにユーザーがアクセスしようとした時に表示されるページを指す。本来のサイトのコンテンツ群とは毛色が違うため存在が忘れられがちだが、一文こだわるだけでも大きく印象が変わる。

遊び心満載のピクサーの404エラーページ

ピクサーの404エラー

https://www.pixar.com/404

こちらは映像制作会社ピクサーの404エラーページだ。

「あぁ・・泣かないで。単なる404エラーだよ。探しているものは長期記憶内で置き違えたのかもしれない」と、映画「インサイド・ヘッド」のキャラクター、カナシミが泣いている。ピクサーらしい遊び心のある404ページだ。

親しみやすさを表すAirbnb(エアビーアンドビー)の404エラーページ

Airbnbの404エラー

https://www.airbnb.com/404

こちらは民泊サービスAirbnbの404ページ。「おっと!お探しのページが見つかりません」というテキストの隣で、女の子がアイスクリームを落としてしまったイラストがある。より個人を重視しているCtoCの民泊サービスAirbnb。親しみやすさを目指すAirbnbらしさがみえる。

さらにはイラストや冒頭コピーに加え、ページ検索に役立ちそうなリンク集も掲載しているところが親切だ。

利便性を追求したバズ部の404エラーページ

ここでバズ部の404ページも紹介しよう。

バズ部の404エラー

https://lucy.ne.jp/bazubu/404

バズ部が日頃から意識している「ユーザーニーズに応え、役に立つページ」を目指した404ページだ。下記3つがポイントとなっている。

・探しているページがないことを明確に伝える
・探しているページを見つけるための方法を提案する(検索窓、カテゴリー)
・他ページとデザインを統一する

404エラーページの本来の役割は、「ユーザーの混乱を避けることにより、より利便性の高いサイトを実現する」ことだ。よく見かける「404 Error」とだけ書かれたような工夫のないページでは全く役割は果たせない。バズ部では利便性を上げる404エラーページを追求した結果、現在のようなページとなった。

404ページの役割についての詳細、カスタマイズ方法についてはこちらの記事を参考にしてほしい。「SEO効果を最大化するための404エラーページのカスタマイズ方法

次から404エラーページ以外の事例も紹介しよう。

サイトのミッションを散りばめるYelp(イェルプ)

Yelpのマイクロコピー

https://www.yelp.co.jp/

世界最大のローカルビジネスレビューサイトのYelp。日本の食べログと違う点は、レストラン以外の病院、弁護士事務所など多種多様な施設も登録することができるところだ。特に北米ではお店探しに頻繁に使われていて、毎月あたり1億4000万人以上のユーザー数を誇る。

こういったレビューサイトといえば、レビューの信頼性が非常に重要だ。嘘やヤラセの内容だらけでは価値がないので誰も利用しなくなる。

Yelpもレビューの信頼性を高めるため、施設のレビュー部分に上記の「信頼性を重視しているためビジネスオーナーはレビューの削除や内容の変更はできません。」というマイクロコピーを配置している。レビューを見ようとしている人には必ず目に入る位置だ。自分たちが大事にしていることを「About Us」ページなどだけでなく、こういった細かい部分でも配置していくことでそのイメージをユーザーに強く持ってもらうことができる。

利用規約をわかりやすく解説Shopify(ショピファイ)

Shopifyのコピー

https://www.shopify.com/legal/terms

個人が簡単にオンラインストアを開設できるプラットフォームShopify。カナダ発世界トップシェアを誇るECサイト制作プラットフォームだ。掲げるビジョンは、「素晴らしい商取引の場所を提供することで、企業が本来時間をかけるべき商品開発やセールスに集中できるようにする」というものだ。実際Shopifyの使い勝手もシンプルで直感的にわかりやすい。

中でもユニークなマイクロコピーが上部にある利用規約ページだ。利用規約といえば、契約書のように専門用語が多く、理解するのに時間がかかるというイメージはないだろうか。Shopifyの利用規約ページでは、ページ右側に「WHICH MEANS(要するに)」と規約内容を噛み砕いて説明している。Shopify利用者が疑問に思う視点で解説しているため理解しやすい。利用者が利用規約を理解する手間さえもできるだけなくそう、とするShopifyの想いが伝わってくるようだ。

あなたがブランドで何を実現したいのか、それによってWebサイトの作りは変わってくる。そして、痒い所に手が届くような、細かい部分にこだわってこそサイト全体の雰囲気が作り出されるのだ。一つ一つのマイクロコピーにも手を抜かない姿勢は、必ずユーザーに伝わる。

あなたのサイトのマイクロコピーがブランドをうまく表現できているか、ぜひ見てみてほしい。


マイクロコピーはプラス表現にしよう

マイクロコピーを考える際に留意してほしいことがある。それは、できるだけプラス表現にすること。特に問い合わせなどユーザーに手間がかかるといった場合、ついつい共感が強くなり表現がネガティブになりがちだ。あえて行動意欲を高めるためにネガティブ表現にするという戦略がしっかりあればいいが、そうでなければほとんどの場合ユーザーに良い印象は与えない。コピーの内容をリフレーミングできないか、今一度ぜひ確認してみてほしい。

例えば、以下2つのマイクロコピーを見比べてみてほしい。

例1

リクエストありがとうございます!
リクエスト処理が完了するまで、申し訳ありませんが今しばらくお待ちください。

例2

リクエストありがとうございます!
リクエスト処理が完了次第、ご連絡いたします。(通常10分程度)
それまで他のページをご自由にご覧ください!
<コンテンツリストへのリンク>

どちらの方が良いと感じるだろうか?

例2の方が、所要時間を記載していることはもちろん、待っている時間も楽しめそうな感じがしないだろうか。例1の方は単に「待たなければいけない」という意識しかない。

ユーザーに気持ちよくサイトを巡ってもらうために、多少ネガティブな内容でもプラスに捉えられるよう工夫が必要だ。

もう少し例を紹介しよう。

こちらは私が実際に受け取った、あるビジネス効率化ツールの無料トライアル終了のお知らせだ。契約終了となり残念、という旨が書かれている。

なんとも、こちらまで悲しくなる文章だ・・・。特に再登録をしようというモチベーションにはつながらない。このお知らせの前に、契約期間が終了間近のタイミングでもお知らせメールがきたが事務的な内容だった。特に更新する意味が見えなかったので更新はしなかった。

一方、こちらはApple Musicのサブスクリプション終了間近のお知らせメール。明確なサブスクリプションの終了日、そして更新することのメリットを挙げて更新を促している。

どちらがマイクロコピーとして優秀なのかは一目瞭然だろう。
Apple Musicのコピーは以下2つができている。

・重要情報として出すべき箇所は明確に出す
・ユーザーにとってプラスの言い換えをする

無意味にネガティブな表現にしてしまっていないか、よりユーザーにとってプラスの表現にできないかぜひ考えてみてほしい。


まとめ

マイクロコピーはサイトの本当に細かい部分だが、その影響力は大きい。ユーザー体験を向上させるだけでなく、ブランドをうまく表現する場としても大きな役割を持つ。

・ユーザーテストでユーザーの障壁を見つけ出す
・ブランドに沿った必要なコピーは何か見つけ出す

まずはここから始めて、あなたのサイトを隅から隅まで見てみてほしい。必ずどこかで変えるべきマイクロコピーが見つかるはずだ。

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